2006年01月16日

私たちは団結できる! ともに感動し、勝利することができる!(N君帰国アピール)

 私は、昨年12月に香港で開催されたWTO世界貿易機構会議への国際的な抗議行動に参加し、香港当局により13名の仲間とともに逮捕・起訴されました。いまだ3名は公判を抱えていますが、香港の仲間をはじめ、韓国やフィリピンなど世界中の仲間が抗議の声を集中するなかで、11名の起訴を取り下げさせ、14名全員の帰国を勝ち取ることで、ほぼ全面的な勝利を得ることができました。これは、WTOという共通の敵に対してともにたたかった、世界中の労働者・農民・市民にとっての画期的な勝利だと思います。

 いま、新自由主義が世界中の仲間の生活を破壊し、命を奪っているなかで、WTOもまたその中心的な役割を担っています。奴らの言う自由は、多国籍資本のみに自由な活動を保証し、富める者はますます裕福に、貧しいものはますます貧しく、死へと追いつめられるという現実を私たちに突きつけています。私は香港滞在中にアジアやアフリカや南米の仲間たちと出会い、お互いの貧困と、貧困に対するたたかいを分かち合ってきました。

 インドの仲間は、多国籍資本がごり押しする農村の機械化にともなって地域の文化が破壊され、仕事を奪われ、行き場を失った農民が都市に出てスラムに入り、さらに貧困をなめ尽くすという現実を訴えていました。アフリカの仲間は、先進農業国の作物が輸入自由化により流入したために収入が3分の1に激減したことを嘆いていました。フィリピンやインドネシアの女性労働者は、農村では仕事がないために他国に出稼ぎに出るものの、わずかな賃金で機械のように働かされて使い捨てられる現実に、声を上げていました。韓国や香港では非正規雇用が拡大し、若者の貧困化が急速に進行し、野宿を強いられる仲間も増え続けています。コメの輸入自由化により窮地に陥った韓国の農村は、何人もの自殺者を生み出し続けています。

 私は、日本では3万人が野宿を、3万人が自殺をしている現実を伝えました。私の身近な仲間がひとりまたひとりと命を落とし続けていること。飢えや寒さにふるえながら仕事を求めたり、わずかな金さえあれば治るはずの病気で死んでく仲間たちの生き様。「豊かな経済大国」であるはずの日本の実態に、ほとんどの仲間が驚きため息をついていました。

 私たちの暮らす社会は今、世界中できしみ、悲鳴を上げています。それは日本だけ、一国だけの事態ではなく、国境を越えて活動する世界資本によってもたらされているのです。

 しかし世界の仲間も、決して黙って死を待っているわけではありません。世界中で新自由主義に、自由貿易に、多国籍企業に抗議をする、命がけのたたかいが展開されています。香港でのWTO抗議行動は、彼ら世界の仲間の「もう一つの世界を!」という声を結集させる舞台でした。

 数千人の仲間が一週間にわたって香港市内を闊歩し、資本が人間を搾り取る自由を糾弾し、ひとりの人間としての尊厳を求める声を上げ続けました。特に韓国の仲間は、「死の行列を止めるため」のたたかいとして、警察との激しいぶつかり合いだけでなく、民族の楽器を打ち鳴らし、たたかいの歌を歌ったり、路上に寝転がったり土下座をしたり祈りをあげたりと、多彩で豊かな表現で私たちを惹きつけ続けました。香港市民も私自身も、その情熱あふれる姿、力強い説得力に強く感動し、共感したのです。

 香港当局は、抗議行動の盛り上がりに恐れ動揺して、12月17日のデモで1000人以上を根こそぎ逮捕した上、闇雲に14名を起訴するという暴挙に出ました。その時点で私たちのたたかいは大きな前進を勝ち取っていたのです。韓国の仲間の戦闘性ばかりが強調されがちですが、その日のたたかいはアジア・アフリカ・南米のなかまがいっしょに、またそれぞれの文化ややり方を尊重しながらの、豊かな笑顔の輝いた美しいものでした。警察との衝突の際にも、私は右にインドネシアの仲間、左に台湾の仲間とスクラムを組んでいたのです。新自由主義を決して許さない各国の仲間が国際的な連帯を果たしたたたかいにより、香港当局を恐怖に陥れたのです。

 逮捕・拘留された仲間を奪い返し、無罪放免を勝ち取るたたかいもまた、海を越えた貧しい労働者・農民の連帯によってたたかい取られてきました。この反弾圧闘争は、デタラメで非民主主義的な逮捕・起訴への抗議というだけではなく、新自由主義とのたたかいに対する弾圧への抗議として反WTO行動の延長戦として取り組まれました。韓国の民主労総の仲間は「私たちはWTOとたたかってきたのであり香港行政に対してではない。だが、14名を起訴し続けている現実は香港当局がWTOの奴隷であることを示しているのだ」として、香港当局を糾弾しながら反WTO・反新自由主義の立場を明確に示しました。14名全員の帰国を勝ち取った1月11日の公判にも、韓国をはじめフィリピンやマレーシア、インドネシアなどから農民・労働者の代表が駆けつけ、各国においても中国領事館への抗議行動が取り組まれました。

 いまや、海を越えて活動するのは資本だけではありません。私たち、たたかう貧しき者たちもまた、海を越え、国境を越えて仲間と結びつきたたかうことができるのです。新自由主義的グローバリゼーションに対し、たたかいのグローバリぜーションを前進させつつあるのです。

 反WTO弾圧闘争はこのように、国も民族も、言葉も文化も、職業も世代も違う仲間であっても、共通の敵に対してともにたたかう国際連帯闘争の歴史的な一歩を刻むものなのです。もちろん東京と大阪で中国大使館・領事館に抗議に押しかけたたたかいは、香港を通じ世界中に届けられています。韓国の仲間とともに一週間のハンガーストライキをたたかった私もまた、世界中の仲間の支えがあったからこそたたかい抜くことができ、起訴取り下げを勝ち取ることができたのです。世界中の労働者・市民・農民にとっての画期的な勝利たるゆえんはこうした点にあります。残る3名の無罪を勝ち取る闘争もまた、国際連帯により必ずや勝利を得られると信じています。

 私を含む被拘束者の救援に奔走して頂いたみなさん。香港・反WTO闘争に参加されたみなさん。
 そして新自由主義グローバリズムと闘い続けているみなさん。

 私たちは連帯することができる。団結し、たたかうことができる。ともに感動し、勝利することができる。この確信を持って、様々な違いを乗り越え、新自由主義という共通の敵に対しともに手を結びあって、たたかいを進めていく決意を表明して、帰国の挨拶に代えさせて頂きます。
posted by anti-wto at 02:12 | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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